犬鳴山遠足登山

場所:犬鳴山-高城山(649M)-五本松(748M) 日付:2004年2月21日(土) 天候:晴れ メンバー:私、犬
犬鳴温泉(9:50)→高城山(11:10)→五本松(粉河ハイランドパーク)(12:00〜13:00)→犬鳴温泉(14:30)

ここ数日は2月だと言うのに春を思わせる陽気が続いている、今日も朝から暖かく、日当たりのいい山をのんびりと歩きたいと思い、貝塚市の犬鳴山から高城山を通り、五本松(粉河ハイランドパーク)を目的地とする山歩きを計画した。
犬鳴山という名前は山の名前では無く、この辺り一帯の七宝滝寺の山号との事らしい。
このあたりは葛城修験道の道場で、今回は歩いていないが、鎖場など、場所によってはかなり危険な箇所も多くあるとの事。
ちなみに犬鳴山の由来だが、参道途中に「義犬の墓」があり、犬の石像と共に下記の文句が書かれた石碑が奉られてあった。

【義犬の墓】
宇多天皇 寛平二年三月十五日(一〇八〇年前)
紀伊の国の猟夫 当山の行場である蛇腹付近に鹿を追った時 樹間に大蛇あり、猟夫を呑まんとす、
猟夫その由を知らず。愛犬しきりに鳴いて猟を遮ぎぬ。猟夫怒りて愛犬を切る。
愛犬の首飛んで大蛇に噛み付き 共に倒る。
猟夫我が生命を守りし義犬を弔わんが為に剃髪して、庵を結んで余生をおくりたりと、その事朝聞に達し、
一乗山改め犬鳴山の勅号を賜った。


切なく悲しい文面だった。

犬鳴温泉付近の駐車場、1日500円 参道を歩く 綺麗な渓谷、優雅な滝

さて、朝の9時半に車は犬鳴温泉郷のバス停付近に到着したが、初めての場所なのでどこに駐車場があるのかよくわからない。
車を止めて周りを眺めていると、前で手招きをしているおばあさんが一人、目の前の有料駐車場に案内された。
このあたりには何箇所か有料駐車場があり、全部合わせると100台ちかくは止める事ができそうで、料金は全て一日500円。
温泉街の駐車場としてはまあ納得の料金か。
関係無いが岩湧山へ登る時の滝畑ダムの駐車場は一日1000円、これはかなり高い気がする。
但し食堂も併設しているので、コーヒー券が1枚もらえるのだが・・・
以前、汗びっしょりになって降りてきて、コーヒー券でアイスコーヒーを頼んだらホットコーヒーしか無いと言われた。
しかも一口飲めば舌を火傷しそうな激熱コーヒー。
出来ればコーヒーは無しでいいから駐車料金を600円くらいにして貰えないものだろうか。

話がそれた。
車を止めて愛想のいい駐車場のあばあさんにコースなどを聞きながら用意をし、犬と一緒に出発。
ここから周囲に温泉旅館を見ながら七宝滝寺の参道へと進む、天気もいいので周りにも結構人は歩いているが、みんな旅館の泊り客かお寺への参拝客ばかり、リュックを背負ってストックを持った私は少々場違いのような・・・
気にはなるが、気にしていないふりをしてサクサク歩く、綺麗な渓谷に添って足を進めるとやがて参道へ。
随分厳粛な雰囲気が漂ってきた、とはいえ無信仰の私にとっては、いくら由緒あるお寺でもサッパリありがたみが判らないのだが。
とりあえず横の川は綺麗なのでヨシヨシ。

つい魚がいるか確認してしまう 本堂付近 不動明王像

30分程歩いたら本堂へ到着、素通りは申し訳ないのでチラッと覗く、ヨシわかった先へ行こう。
ここから道は分かれて山の上へと向かい、標識には「高城山、五本松」と書かれている、ここまでは山登りに来た事を忘れてしまいそうな道だったので、いよいよかと思い気合を入れて石の階段を登り始める。
5分程登った所で舗装された林道に出合う、アリャ?
仕方なく林道を歩くとすぐに分岐、どうやらここからが本当の登山道らしい。
地図を確認すればコッツキ谷と書かれてある、植林と雑木林が半々の明るい道、すぐ横の木でウグイスが鳴いている。
ここであまりに暑いので上着を脱いでリュックに押し込む、予想はしていたがこりゃかなり暑くなりそうだ。
小さな沢を何度も渡り返しながら高度を上げてゆく、周囲は相変わらず植林になったり雑木林になったりだが、周りの山もそう高い山は無いので結構明るいし、分岐には大抵標識が立てられてあるので安心して登っていける。
40分程ここを歩けば突然尾根道へ出た、ここでボーイスカウトが休憩していたが、引率の母親の一人が私に向って「歩いてきたんですか!」と驚いていた。
ボーイスカウト達はどうやってここまで?まさか車で山頂まで行って周辺を散策しているのか?
ちなみに今日の目的地である五本松は、紀泉高原と呼ばれる400〜800Mの山々の尾根上にあり、ドライブウェイが尾根道を縦走している。

ここは展望も良く休憩に良さそうだったのだが、少々賑やか過ぎて早々に出発する。
ここから五本松までは舗装された林道歩きになる、このあたりの山を歩いていて舗装道を避けて歩くのは難しいのだが、最近はそれにも慣れて来た。
車は殆ど通らないし、少々綺麗なハイキングコースだと思うことにしよう。
ここから1時間くらいで目的地に到着するはず、その前に高城山(649M)の山頂があるはずなのだが、いつのまにか通り過ぎてしまったようだ、まあいいか。
30分程歩いた所で空腹に耐え切れずにパンをかじる、考えてみれば起きてから何も食べていなかった。
ハナにも水とおやつを与えて再び出発、林道と登山道を交互に歩いて行くうちに目の前に展望台が見えて来た。
ここが今日の目的地の五本松(粉河ハイランドパーク、標高748M)。
山上のドライブインといった感じで、食堂や展望台、イベント広場やゲートボール場などが点在する施設だが、どうみても賑わっているとは思えない、駐車場に10台程の車が止まっているが、殆どはドライブがてら景色を楽しみに来た人達のようだ。
空いている駐車場でテーブルとイスを出してくつろいでいる家族や、バトミントンをしている子供達。
ここでもやはり私の姿は場違いのような・・・
ここから続く尾根道を3キロ程、ゆるやかに高度を上げながら縦走すれば和泉葛城山頂へ着くのだが、このドライブウェイをこれから往復6キロ歩くのはウンザリ、今日はここまでとする。
時間は12時前、犬鳴温泉から丁度2時間だった。

粉河ハイランドパーク(五本松)の展望台 南(和歌山方面)を見る レストランと案内所、野菜の直売もしていた

景色の良さそうな場所を見つけて昼食にする、天気はいいしポカポカと暖かい、風は多少吹いているが南寄りの風なので冷たくは無い、汗をかいた体に何とも心地良く、ずっとここで寝ていたい気がした。
今日のメシはカップヌードルミニとオニギリ一個、さっきパンを食べた所なのでこれで充分、コーヒーを飲んで寝転がっていると、本当に30分程寝てしまった、犬のハナも私の横で眠っていた。
ここは案外いい所かも、車道を離れれば人もいないし、規模は小さいが案外「紀泉高原」という名前は似合っている気がする。
決して蒜山高原や阿蘇と比べてはいけないが・・・

いつもの豪華な食事 山頂で昼寝 こんな道と車道が交互に続く

時計を見れば午後1時、そろそろ下山しよう。
帰りは同じ道では無く不動谷を歩く事にする、ここも車道歩きが長くなりそうだが、来た道を引き返すのも面白くない。
しばらく車道を歩いて登山道へ入り、又車道といった感じで交互に渡り返す。
つづら折りの車道の途中をショートカットして降りて行くような感じか。
途中強烈な急坂を降りるが、最近雨が降っていないらしく地面が乾燥して滑り、木につかまらなければ立ってもいられない。
ハナは大丈夫かとふり返ればさすがイヌ、4本足でスルスルと先に降りて行く、お〜い待ってくれ〜。
やがて完全に車道歩きになり、目の前に「犬鳴トンネル」が見えてきた、車道を歩いているので当然このトンネルを通るのだが、正直中に入りたくない。
なぜならこの犬鳴トンネルは、大阪南部に住む者なら誰もが知っている心霊スポット。
落ち武者が歩いてきたとか、軍服を着た兵隊が歩いていたとか、ロクな話を聞かない。
勿論信じている訳では無く、昔はバイクや車で何度か通った事があるのだが、歩いて通るのはさすがにチョット・・・
迂回路が無いかと探したのだが見当たらず、仕方なくトンネル内へ入ったが、なんか綺麗になっている、昔はもっとボロボロだった記憶があるのだが、最近改修したのかな?
しかしいくら綺麗になってもイヤなものはイヤ、距離にして300Mくらいだろうか、中央付近で落ち武者が追いかけて来たらどうしよう・・・
いつでも走れるようにハナを抱いて覚悟を決めて歩き出す、でも走ったらよけい怖くなる気がしたのでゆっくりと、しかし早足で歩く。
決して振り向くまいと思っていたのだが、中央で耐え切れず後ろを振り向く、何も出るはずは無いのだが、なんかコワッ!
さらに早足でトンネルを脱出し、トンネルが見えなくなった所で思わず休憩(ドキドキ)。
まだ昼間だったからいいが、夜なら来た道を引き返しているだろうなあ、一人で歩く山道も、山中のキャンプも、一人での夜釣りも怖くは無いが、一人で歩く心霊トンネルはかなり怖い、今日初めて知った。
(誤解を招かぬ様書き加えると、トンネル自体は綺麗で照明もあり、陰鬱な雰囲気などは全くありません)

怖い犬鳴トンネル、新しくなった? 川を見るのが好きらしい 温泉付近にバンガローもあった

ここを抜ければ程なく往路と合流し、渓谷沿いの参道を歩いて駐車場に帰るだけ。
膝は少し痛んでいるがまだ大丈夫、駐車場へは2時半に到着、約1時間半の帰路だった。
この辺りの温泉旅館では日帰り客でも入ることの出来る所が幾つかあって、料金は600円程度らしい。
駐車場のおばあさんが、「犬は見ておいてあげるから入っておいで」と言ってくれたのだが、それも悪いので今回は遠慮し、又改めて来る事にする。

今回の犬鳴山-高城山-五本松、不思議な山歩きだった。
前半は温泉街から厳粛な修行場、その後はウグイス鳴く雑木林、そしてドライブウェイに怖いトンネル、山歩きと言うよりも遠足から帰ってきた感じがする。
振り返ってみれば案外変化があって退屈せずに歩いていたような。
急登に疲れ果てて座り込んだり、つまらないトンネルに怯えたり、家にいてはこんなに楽しい事は経験出来ない。
又来るか、今度は帰りに温泉に入ろう、但しトンネルは通らないコースで。

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